こんばんは、紗那教授です(/・ω・)/
異動して通勤時間が短くなったおかげで、創作の時間が取れるぜウヒョヒョヒョとなるはずが、その分残業が長くなってしまうという悲しみ。
さて、今回は『ラヴィアンルージュの死脈』(剣城かえで様 著)の感想と紹介です。
概要

この街に咲く薔薇は、強力な麻薬の材料になるらしい──『魔都』ルテティアの管理下にある廃墟街『街衢(がいく)629』にて、貧しい暮らしをしていた若者アランは、友人のジョセフから街に咲いている薔薇を麻薬商人に売る計画に誘われるがままに加担する。だが街の薔薇には不吉な言い伝えがあった。 薔薇に関わった者は死ぬ。 街の人々は頑なに伝承を信じていた。密貿易に加担したアランだが、不安は増していく。 そんなアランの前に黒衣の黒影『薔薇柩』が現れる。密貿易を止める計画への、協力を求めて。
「【ローファンタジー】ラヴィアンルージュの死脈」紅茶会事変@Text-Revolutions Extra 2 – Plag!
感想
体裁
A6文庫本サイズで、200ページです。
印刷所は、ちょ古っ都製本工房さんと、プリントオンさん。
前者が中身、後者がカバーでしょう。
中身とカバーを別々の印刷会社にお願いする合わせ技は、入稿にひと手間かかりますが、カバーにこだわりを持ちつつコストパフォーマンスの良さを求めるにはいい選択だと思います。
表紙は耽美主義のかえでさんらしい雰囲気ですね。
今までの作品よりも一層、物語内容にリンクしている感じがします。
感想
耽美主義のかえでさんの文体が美しいのは、言うまででもありません。
文章だけでなく、使用している単語も本当に美しいものばかり。
日頃からそういったワードに囲まれている又は、求めている意思がなければ、つらつらと出てくるものではないでしょう。
かえでさんの作品は今までも何作品か読ませていただいていますが、本作は彼女の作品の中でも新しいということもあって、文章もストーリーも今まで以上に洗練されていると感じました。
話が少し脱線しますが、僕は遅読の自覚があります。(1冊の文庫本を読み終わるのに1~2週間かかるのはザラです)
でも、本がぶ厚かろうが長編だろうが、ゾーンに入らせてくれる作品というのが存在します。
つまり、僕個人にとっての優れた作品。
本作もその一つで、一気読みしてしまいましたし、出会えたことを嬉しく思います。
さて、話を戻します。
これもかえでさんならではの世界観ですが、アンティークと先進技術が融合した雰囲気で独特なものがあります。
電気やガス・水道が無い又は発達していないことが窺えるかと思いきや、電話が出てきたりします。
よく中世ファンタジーで家電を出したり、それを比喩に使うことはタブーだと言われたりしますが、本作の場合は近世らしさを感じます。
ただ、リアルの近世ではなく、架空な近世の雰囲気。
そこにオリジナリティを感じますし、僕が今考えている物語もそこを目指していきたいと思っています。(だからこそ本作に強く引き込まれたのかもしれません)
たとえ理論的でなくても、確立されている世界観を持っている同人作家さんに憧れます。
それに伴う戦闘描写もまた美しい。
本作にはガスパールと薔薇の女という、分かりやすく言うと2人の悪役がいます。
前者は中盤で戦闘、後者は後半で戦闘の描写がありますが、流れが繋がっていてこれがまた良い。
(だんだん僕の感想の語彙力がなくなってきた→つまりそれ程までに面白いということ)
単に美しいだけでなく、ストーリーが丁寧に練られていることが窺えます。
物語のキーマンである黒衣の黒影『薔薇柩』も、恐ろしさとお茶目を兼ね備えた独特なキャラクター。
同人作品にクォリティを求める方にとっても、読み応え十分な作品だと思います。
こんな人におすすめ
・耽美な文体に触れたい人
・尚且つ戦闘描写も読みたい人
・古い時代のような新しい時代のような、独特な世界観に触れてみたい人
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